アニサキスだけじゃない「腸炎ビブリオ菌」にも注意!! 症状と対策について
海産物での代表的な食中毒として腸炎ビブリオ菌によるものがある。腹痛、発熱、嘔吐と症状はきつく、大量に摂取してしまった場合には死亡することもあるというから怖い菌だ。自分で魚介類を調理するなら腸炎ビブリオ菌対策はきっちり行おう。
腸炎ビブリオ菌とは
腸炎ビブリオ菌は海や汽水域に住む好塩菌の一種で、海水温が高くなるほど増殖し、魚体表面、エラ、内臓、粘液と多くの場所に付着している。魚に限らず、貝やエビ、イカ、でも同様である。
腸炎ビブリオ菌の増殖速度は極めて速く、10℃以下では繁殖を抑えられるが、20℃を超えるとたちまち増殖する。
腸炎ビブリオ食中毒の場合、食後12時間前後で腹痛、吐き気、下痢、熱の症状がみられる。多くの場合は1~3日で回復する。稀ではあるが重篤な場合や基礎疾患をもつ高齢者では死亡するこがある。
実際に死亡例がある
1995年10月21日、大阪で集団シラス食中毒事件が発生、約300名が感染し、20名が亡くなった。原因は業者が製造した「シラス干し」であった。事件当時にはこの菌は発見されておらず対策がなされていなかった。
二次汚染
魚介類を生で食べる刺身や寿司での直接的な感染と、まな板や包丁、手指で食品を汚染してしまう二次汚染がある。漬物やたまご焼、酢の物からの感染もあり、塩分と温度次第ではどんな食品でも汚染増殖させてしまう恐れがあるということだ。 感染の半数近くがこの二次汚染によるものだという。
真水、熱に弱い
1%も塩分があれば増殖してしまうこの菌であるが、真水であると増殖はできず、5分以上(菌自体に直接触れている場合)の浸水により死滅させることができるとういうデータもくらし科学研究所からのデータから出ている。また65℃、5分以上の加熱でも死滅させることができる。
対策
そのまま食べるような加工品で汚染増殖していたらどうしようもないが、自分で調理する場合には対策ができる。
1 水道水でよく洗う
最初に魚介類の表面を洗い流す事はもちろんだが、エラ、内臓を取った後にしっかりと洗い流すことが大切だ。塩水で洗うのはNGで、もし塩水を一時的に使う場合は、真水で洗った後に冷たい塩水を使うこと。
2 下処理後にまな板、包丁、手をよく洗う
ウロコや内臓を取るなど下処理をしたら、一度まな板と包丁、手を綺麗に洗い、身に包丁を入れていく。そのまま次の作業に移ってはならない。生食ならなおさら丁寧に。
3 温度管理
せっかく菌の付着を最低限にしても温度が高いと繁殖してしまう。冷蔵庫に入れ10℃以下で保存し外に出しっぱなしにしない。
【おわりに】
腸炎ビブリオ菌はほとんどの魚介類に存在するため一次汚染は避けられないが、一般的な衛生管理と温度管理の意識があれば感染しにくい細菌ともいえる。 食品衛生法での「飲用的の水を使用」、「10℃以下での保存」など加工基準改正後に発生件数が大きく減少しているのもこれらの対策が有効な事を証明している。
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